フェアで行こう
フリークライミングの「フリー」は「自由」ではなく、フリーハンドと同じく「手ぶら」の意味。
人工的な用具や手段に頼らずに、つまりフェアな姿勢で岩壁を登ろうという思想だ。
実際には専用シューズやチョークを使い、登る手段ではないけれど安全対策としてロープやボルト、カラビナなどを用いるが、これらはクライミングと無謀な自殺行為とを分ける、最低限の妥協点。
俺はフリークライミングのこの思想が大好きで、日常の様々な場面でも、ミニマム主義者でありたいと思っている。どこまで積み上げるかではなく、どれだけ削れるかで勝負したいと考えているのでR。
さて、この考えを困難な長期山行に取り入れたのが、この本の著者。
ヘッドランプやラジオのように、電池で作動するものは持たない。米以外の食糧は現地調達。表紙写真にあるように、イワナを釣ってタンパク源とし、山菜で彩りを添える。
丸裸ではないけれど、極限まで装備を削り、原始的な山で長期の壮絶な山行を貫徹する。
要はズルしないってこと。自然とフェアに向き合おうという姿勢に、好感が持てる。ま、昔のマタギなら、当たり前にやっていたことばかりなのかもしれないが。

でもこの本は中盤以降、なぜか著者の言うサバイバル登山とは全然違う内容の山行記になっている。たしかに後半も壮絶は壮絶でまさにサバイバルなのだが、乱暴に言えば「ちょっと(かなり?)グレードの高い雪山山行」の記録。「裸で山に入る」という意味のサバイバル登山ではなくなっている。一冊通してみると、ちょっとテーマが散漫な感じ。
なんか批判文みたいになってしまったけど、読んで損なし。お前はどこまでフェアなんだ?と迫られること必至。山に限らずにね。
ところで「文庫以外は買わない」という方針を覆してこの本を買ったのは、九州に帰省したYさんが餞別にとくれた図書カードのおかげ。Yさん、ありがとう。元気でやってますか。この本、結構熱くなりますよ!
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